2005, ApJ, 634, 142-148

Spectroscopy of i'-dropout galaxies with an NB921-band depression in the Subaru Deep Field
Nagao et al.


この論文では、SDFにあり強いLy\alpha放射をしているふたつの星形成銀河(それぞれ赤方偏移z=6.03z=6.04)の分光観測について報告する。これらの二天体は、interestingなphotometric propertyである“NB921 depression”を示しているi'-dropout(i' - z' > 1.5)天体としてそもそも選択されたものである。NB921バンド(中心波長は9196A)での等級がz'バンドでの等級に比べてかなり下がるのである。これら二天体の可視光でのスペクトルから、\lambda_{\text{obs}} \sim 8540Aと\sim 8560Aにおいてasymmetricなラインであることがわかった。このことから、これらの天体はz\sim6にあるLAEsであるということになる。静止系でのLy\alpha放射のEWはそれぞれ94Aと236Aであった。後者はこれまで分光で確認されたz >\sim 6のLAEsの中でEWが最も大きいものということになる。これらの二天体の分光で測定されたLy\alphaフラックスは、NB921 depressionがz'バンドでのフラックスに対して強いLy\alpha放射が寄与していることによるものである、という解釈とconsistentであった。NB921-depressedなi'-dropout天体の多くは6.0 <\sim z <\sim 6.5にある強いLAEsであると考えられる。銀河系のL dwarfやT dwarf、そしてz > 6.6にあるNB921-dropout銀河は、NB921-depressedなi'-dropout天体においてdominantではないのである。したがって、NB921-depressionの方法は、6.0 <\sim z <\sim 6.5という広い赤方偏移の範囲にわたってEWの大きいLAEsを探査するのにとても効果的な方法である。z\sim3におけるbroadband-selectedサンプルでは、EWが100Aを越える天体の割合はとても小さかったが、SDFのi'-dropoutサンプルではその割合はかなり大きい。このことは、z\sim3からz >\sim 6にかけてEWのstrong evolutionがあったことを示唆しているのかもしれない。